Dropbox で4年働いて学んだこと10のこと

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Dropbox に4年間働き、2019年6月に退職した。2015年4月に入社し、4年2ヶ月勤務したことになる。
4年勤務するというのはサンフランシスコ、シリコンバレーのIT企業では非常に長く、退社する前、私は全社員の中で上位10%の古巣の社員になっていた。
それぐらい人の入れ替わりがあり、優秀な人たちが出入りするのがサンフランシスコ、シリコンバレーの成長しているIT企業の特徴の1つだろう。

Dropbox で働いた4年間は最高にエキサイティングで学びが多かった。特に僕は上場前で日本オフィスの立ち上げ当初に入社したからだろう。僕が入社した当時は社員数はグローバルで1200人だったが、今では2000人を超える社員数になった。さらに僕の部署は入社時は6人だったが、最後には80人ぐらいに成長し、会社の売上の9割を担う部署になっていた。
そんな急成長し続けるDropboxに4年間在籍して学んだことがたくさんあるが、ここで10個にまとめて紹介したい。
そして、多少なりともあなたの学び、刺激、行動のきっかけになったら非常に嬉しい。

2015年にDropboxに入社して1か月後に撮った写真


Dropbox で4年働いて学んだこと10のこと


  1. 企業文化って最高に大事

  2. 会社のバリューがいろんな判断軸になる

  3. 地球の裏側にいても存在感を出す方法

  4. 感情は3割増しで表現する

  5. 助け合う文化はファウンダーから来ている

  6. 上司のあり方

  7. 1on1の使い方

  8. オラオラ系の重役と縁の下の力持ち型重役

  9. Give giveし続ける人はグローバルでも強い

  10. 優先順位付けがすっげ〜大事で重役になればなるほどはっきりさせる傾向

1. 企業文化って最高に大事

Dropbox は5つのバリュー(価値観)がある。 企業のバリューで有名どころだとリッツカールトンのクレドだろう。このように日々の行動を決めるための共通の価値観が設定されている。 多くの会社で同様に理念、行動指針という言葉でこのようなバリューがあると思う。 だが、これが本当に浸透している会社は少ないと僕は感じている。以前働いた会社ではこのようなバリューを浸透させようとCEOが頑張ったが、CEOが株主によって解雇されたとたんに元の売上至上主義に戻り、えげつない会社の文化が戻ったというのは見てきた。 または、企業理念はあるものの、形だけで日々の行動指針、判断軸になっていない会社も多いのではないだろうか。

Dropboxではそんなことはなく5つのバリューが凄く浸透していてびっくりした。
そして、とても過ごしやすくかった。
経営者層も社員からのフィードバックをとても大事にしていて、それを真摯に受け止めては様々なことを見直しては改善し続けている。僕もとても安心して働いていたね。


2. 会社のバリューがいろんな判断軸になる


5つのバリューがあると上で書いたが、それが下の2つの人事系のところで凄く浸透しているから、みんな真剣になる。だって自分の評価、給料、一緒に働く同僚に影響を及ぼすからね。

  1. 新しく人を採用するときの判断基準
  2. 年1回の人事考課面接

採用面接のときの判断軸でのバリューの浸透具合

新しい人を採用するときには、面接される人は採用するポジションに求められる能力などを見られるのはもちろん。これに加えて、会社の文化に適合するかどうかのカルチャーフィットに関しては5つのバリューを判断軸に見る。これを複数人の人が面接をして見ていく。

人事考課面接でのバリューの浸透具合

年に2回ある人事考課面接のときは、上司と面接する前に、まず自分のやってきたことを書いてアピールする。 自分のやってきたことを書くときも5つのバリューに基づいて書いていくと上司も評価がしやすい。そして上司からのフィードバックも5つのバリューに基づいてフィードバックがもらえたりする。

自分が賛同しているバリューだからこそ納得感もあるし、上司の腹を探る必要がなく分かりやすいのが僕は大好きだ。なかなか浸透しているでしょう。


3. 地球の裏側にいても存在感を出す方法


僕の所属していた部署のほとんどの人はサンフランシスコ本社にいた。だからサンフランシスコ以外にいて存在感を出すことは簡単ではない、そして存在感を出すことは大事だ。
なぜなら、「この人海外にいるけどとても大事なことをしている」と思われるといろんな人たちが助けてくれて、さらに成果を出す可能性増え、さら人が助けてくれるからだ。

僕は入社して1年が経とうとしたときにやっと成果を出すことができて、そして2年目は成果を出し続けることができた。
そして、上司が僕にアドバイスをしてくれたことが、「お前の成功をみんなにアナウンスしろ!そして、もっとみんながお前を助けるようにしよう!四半期に1回ニュースレターを送ろう!」
ということで四半期ごとにニュースメールを送ることにした。
ブロガーだからタイトルからこだわるよね。さらに内容もタイトルを裏切らない内容にするから、COOを含む本社の多くの人たちが僕のニュースレターに反応をしてくれる。
COOが僕のニュースレターに複数回反応すると、さすがに多くの人たちが僕のニュースレターのことを知ってくれる。
だから、繰り返しメールなどのツールを使ってアナウンスすることは大事だと痛感することができた。


4. 感情は3割増しで表現する


同僚の本社の人たちとの普段のやり取りはチャット、メール、ビデオ会議だ。
どんなにテクノロジーが進んでも顔を突き合わせたコミュニケーションに勝るものはないだろう。
かと言って毎月、日本からアメリカ本社に飛行機で行っていたら身体とお金がもたない。

実際に会うことができないため、チャット、メール、ビデオ会議では感情を3割り増しで表現すると海を超えて自分の伝えたいことが可能性が上がると思っている。
また、そうすることで多くの本社の人たちは「Shoe-gは情熱的だね」と言われる。
そして、多くの人たちは情熱的な人と働きたいがるから、みんなかなり助けてくれる。

海の向こうの人たちコミュニケーションするときは感情を3割増しにして表現する。


5. 助け合う文化はファウンダーから来ている


Dropbox で一番好きなのが、助け合う文化だ。
入社してすぐにサンフランシスコ本社に3週間行ったときに、30人の人たちと1on1(1対1の打ち合わせ)をしたときに95%の人たちが、「何か助けられることないか?」、「俺でできることあるか?」と言ってきた。帰国してからサンフランシスコにいる上司が「お前の成功は俺たちの成功だ。だからお前にオープンになってほしい。オープンになってくれたら何してあげられるか分かるから」と言ってくれた。
そんなことを上司、同僚から言われたことは今までになかった。
そして、実際に「こんなことで困っているんだ」というとすぐに上司は行動に移して助けてくれた。当時の僕にとってはまったくもってビックリな出来事なんだ。
で、なんでみんな助け合うんだろうと思っていろんな社員の人たちと話してみると、創業者の二人が社員を助けることをしている。
具体的には、マーケティングで早期に入社した女性がWifiの設定ができなくて困ったところを創業者の Drew Houston が助けてくれたという。
同じくCo-founderのArashと話してみるとやはり、どう僕のことを助けてられるかを考えてくれる。
凄く嬉しい


6. 上司のあり方


2人のファウンダーと同僚、上司たちも助けてくれるんだけど、それに加え上司は部下のことをどう考えてくれているかを書いてみます。
「Set up for success」と上司がよく言う。要は部下が成功するためのお膳立てすることが上司の大事な役割の一つである。


7. 1on1の使い方


Dropboxを含め多くの外資系企業は上司、同僚との1対1のミーティングをします。これを1on1(One on One)と呼ぶ。
僕を採用してくれた最初の上司であれよあれよと言う間に Vice President にまで昇進していった上司がいるのですが。彼がCOOと1on1をするときの時間の使い方を教えた。

前半の15分を報告・連絡・相談の仕事の打ち合わせに使い、後半の15分を自分自身のメンタリングに使うようにしていると教えてくれた。
当時、上司の組織は4年間ですごく大きくなり、彼は大きな組織をマネージメントすることを学びたがっていた。そして、COOは前職などでCEOなどを行い、大きな組織を作ることとマネージメントすることを経験していたので、上司は彼に組織マネージメントなど、そのとき彼がCOOからもらいたいアドバイスを聞いてた。
僕も、その真似をして、彼と1on1をするときは後半にキャリア、仕事などにおいてアドバイスをもらうための質問を投げかけるようにした。
そして、いいヒント、アドバイスをたくさんもらうことができた。


8. オラオラ系の重役と縁の下の力持ち型重役


人の入れ替わりの激しい成長している外資系企業にいるといろんな人を見ることができる。
その中でグローバルのセールスのVice Presidentを2人ほど見ることができた。

1人はオラオラ系で四半期ごとの営業目標を達成することは必須だと!いつも言う人。見た目も怖い
それに付け加えるように、「私でできることがあれば何でも言ってくれ」と言うんだが、別にお願いできることがあるとしたら、非現実的な営業目標を作ることを辞めてくれと言うことだろう。それ以外に実際に手伝ってもらえることなんて、ほぼない。
もちろん営業目標が下がることもない。

無茶苦茶な営業目標を設定しては、「目標は必達!それ以外の選択肢はない!」なんて言う。
営業たちは本当にかわいそうだった。
その後、その人は会社に約束していた数字を達成することができなかったので、その人は会社を去っていった。

次に営業のグローバルリーダーになった人が素晴らしい人だった。
優しい人で、「お前たちが仕事をもっとスムーズにできるようにOXとOXをしている」と営業を中心とした人たちが、より効率的に仕事ができるように、どんどん環境を変えた。
さらに各国で成功した提案内容があると、それをグローバル展開して、他国の営業たちも同様にいい提案ができる環境を作っていった。
そのリーダーの口から僕は「目標は必達だ!」と一度も聞いたことない。
その代わりに「文化に投資しろ」「採用のときは性格も見ろ、性格は変わらない」などと、とても人間的なアドバイスをしてくれる。

仕事のやり方が対極にある2人のグローバルリーダーを見ることができたこと、素晴らしいリーダーってこうなんだと学ぶことができて本当によかった。
僕もできたら後者の周りの人たちがさらに活躍できる場を提供できるようにリーダーになりたい。


9. Give giveし続ける人はグローバルでも強い


僕は社内のいろんな部署の人たちと働く機会に恵まれたので、たくさんの友達ができた。
いろんな人がいろんな素晴らしい能力を持っている。
だから、その能力、時間を提供して周りを助けてくれる人もいれば、助けられて成果を作る人もいる。みんな助け合って成果を出そうとしている。
多くの人を助けてくれる人は口コミで評判がどんどん広がる。
また、助けられて成果をあげた人は、社内メールでみんなに仕事の成功をアナウンスして、助けてくれた人たちを紹介して、みんながチームとして社内から賞賛をもらう。
こんな流れができている。
2000人の会社規模でも周りの人たちを助ける人たちはいい評判がたって、それが口コミで広がっていく。とても面白い。

与えるのは仕事だけじゃない。文化面でも与えることができる。例えば、四半期に1回チームビルディングと称して社員たちで食事だったり、イベントなどをする。
僕が在籍していた時の日本オフィスは社員数が少ないので、チームビルディングを企画して実行する専用の人がいないから、持ち回りで社員が幹事をする。
ここで幹事をすることで、周りの人たちに与えることができる。いいイベントをやった時は周りから非常に感謝され、後々でも参加した人たちの心に残る。
僕の場合は、ダブリンにいた同僚たちにEXCELで分析とシミュレーションを作る講座を実施した。それで彼らがさらにいい仕事をして成果を作ってくれれば僕は嬉しい。
教えた人たちは今でも仲良くしてくれていて、僕の中では大きな財産だと思っている。
与えることが喜びになると人生が面白い方向に向かっていくことを僕は人生を通して伝えたいね。


10. 優先順位付けがすっげ〜大事で重役になればなるほどはっきりさせる傾向


役職が上になればなるほど、言うことやることがブレてはいけない。だからこそ優先順位をしっかり決めたら、それを守り通すことを目の前で見ることができた。
重役で言っていること、やることがブレると10倍、20倍になってその影響が部下に降ってきて、部下たちが翻弄されてしまう。
以前、Dropbox Paperの Product Manager のトップが日本に来た時に、日本の会社とのパートナーシップの話を持ちかけた。いい話なんだけど、それを実現するためにはエンジニアに多少の開発をしてもらう必要が出てくる。
ビジネス的に美味しいと思うから僕は提案をしたのだが、Dropbox Paperのコアターゲット層へのアプローチではないから却下された。製品の全てを担当する Product ManagerのTopと直接話して、彼女の優先順位を頑なに守る姿勢を垣間見ることができて、僕はとても勉強になった。


最後に

Dropbox の前にいろんな会社を経験してきたけど、Dropbox で働けたことは僕にとってとてもいい経験になったし、成長するチャンスを得ることができて本当に幸せだ。
しかも、日本オフィスの立ち上げ当初だったので、最初の時期の同僚たちとは、仕事仲間以上のつながりを感じる。そんな時期から働けて、会社が成長していくのを目の前で見ながら仕事できたたことがさらに嬉しい。

CEOのDrewが日本に来た時に紹介してくれた。Dropbox のマネージャーたちにおすすめする本を2冊紹介してくれた。Dropbox CEO Drew Houstonが教えてくれた成長するためにやること3つに書いてあるが、ここでも下の2冊を紹介する。

  1. HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
  2. パラノイアだけが生き残る 時代の転換点をきみはどう見極め、乗り切るのか


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